1外国人、1在留資格の原則
日本に在留する外国人は、出入国管理及び難民認定法の所謂(入管法)に記載されている、
別表第一または別表第二に定める在留資格のいずれか一つをもって在留することとされています。
(1外国人、1在留資格の原則)
各在留資格には、日本において行うことができる活動または日本において有する身分または地位、
在留期間が定められていて、在留外国人は、それぞれの在留資格に応じた活動を、
在留期間内に限って行うことができます。
もし、現に有する在留資格に含まれない活動を許可なく行った場合は処罰の対象となり、
退去強制事由に該当した場合には、退去強制手続きがとられます。
このように、各在留資格をもって在留する外国人は、退去強制事由に該当しなければ
その在留期間中の在留を認められますが、
入管法22条の4に定める事由のいずれかに該当する場合は、在留資格の取消事由に該当し、
30日を超えない範囲内でその外国人が出国するために必要な期間が指定されるか、
または、退去強制事由に該当した場合は退去強制手続きがとられます。
在留中の外国人についての入管法に基づく手続きの基本事項
在留資格が定める範囲外での収入活動や職業活動を行いたいと考えている場合、
地方入管局、支局、または出張所に申し込み、「資格外活動許可」を得ることが可能です。
現在の在留資格で許可されている活動から別の在留資格で許可されている活動へと変更したいと考える場合、
「在留資格変更許可申請」を行い、その許可を得ることが必要です。
現在の在留資格の期間が終了した後も、同じ在留資格で滞在を続けたいと思う場合、
期間の終了3ヶ月前から「在留期間更新許可申請」を行い、許可を得れば滞在を続行することができます。
在留資格を持つ外国人が日本で永住したいと希望する場合、「永住許可申請」を行い、その許可を得ることにより、
時間制限なしに滞在することが可能になります。ただし、永住許可を得ても無制限に滞在できるわけではありません。
「上陸許可申請や永住許可申請時に虚偽や改ざんされた文書を使って許可を得たことが明らかになった場合」、
「再入国許可(見なし再入国許可含む)」、「住所登録を行わなかったり、転出入届出を提出しなかったり、
虚偽の報告をした場合」、「在留カードの有効期間更新申請手続きを怠った場合」、
「一定の刑法に反して刑罰を受けた場合」などが取消事由に該当し、その場合は永住許可が取り消されます。
日本に在留する外国人が1年以上日本国外に出国する際には、「再入国許可申請」を行い、
再入国の許可を得ることが必要です。さらに、日本に在留する外国人は、「就労資格証明書」を取得することが可能です。
この証明書は、在留資格を持つ外国人が就職や転職を行う際、その職業が在留資格に適しているかを
確認するために必要なものです。なお、就労が許可されていない外国人を雇用した場合、
雇用主は不法就労助長罪(入管法73条の2)に該当する可能性があります。
また、不法就労者を雇用した者が外国人である場合は、退去強制事由となり、退去強制手続きが行われることになります。
これらの手続きは日本に在留する外国人の権利と義務を保護し、また、その活動が適法かつ公正に行われることを保証するためのものです。これらの手続きを遵守することにより、外国人は日本での安全な生活を享受することができます。
資格外活動許可
「入管法」に定められた別表第一の在留資格を持つ外国人が、
一時的に許可された在留資格の範囲を超える利益を生み出すための労働活動を行いたい場合、
その手続きとして「資格外活動許可」の申請を行い、許可を得ることが必要です。
資格外活動とは、本人が持つ在留資格の許可範囲を超える利益を生むための労働活動のことを指します。
ただし、この活動は在留資格で許された活動を妨げない範囲で行われるものでなければならず、
風俗関連の仕事につくことは許されません。許可内容には以下の2つがあります。
①一週間で28時間以内の収益・就労活動を許可するもの(業種を問わない全般的な許可)
②具体的な労働場所や仕事内容などを個別に明示し、その範囲内での収益・就労活動を許可するもの(個別指定許可)
特に、「留学」の在留資格を有する者は、週に28時間以内の収益・就労活動が全般的に許可されます。
さらに、所属する学校が長期休暇を設けている期間については、一日8時間以内の収益・就労活動が認められています。
在留資格変更許可
在留中の外国人が現行の在留資格を異なる在留資格に移行したいと望む際には、「在留資格変更許可申請」を行い、
承認を受けることで新しい在留資格に従った活動を始めることが可能になります。
在留資格変更許可の申請は在留期間中ならいつでも可能です。
法務大臣は、当該外国人が提出した書類に基づき、「適切な理由があると判断できる場合」にのみ、
在留資格の変更を許可できると規定されています。在留資格変更の審査においては、
申請者の在留資格適合性及び在留状況などを包括的に審査し、適切性が確認された場合に許可が下されます。
なお、「短期滞在」の在留資格から他の在留資格への変更は、
「やむを得ない特別な事情」がない限り許可されないことを覚えておいてください。
在留期間更新許可
各在留資格には特定の在留期間が設定されています。これらの期間は、入管法施行規則別表第二において、
それぞれの在留資格に基づいて明記されています。既存の在留資格を保持し続けたい外国人、
もしくは同じ身分または地位を保持して在留を続けたい人は、「在留期間更新許可申請」を行うことが可能です。
在留期間の更新に関して、法務大臣は、「在留期間の更新を適当と認める相当の理由があるとき」
が提出された文書により証明された場合にのみ、これを許可する権限を持っています。
従って、続ける予定の在留活動が達成できない見込みがある、または在留状況が良好でない場合には、
更新の許可を得られない可能性があります。
永住許可
日本に在住する外国人は、在留資格を「永住者」とするために、永住許可申請を行うことができます。
これは、永住を望んでいるときに申請すべきものです。「永住許可」は、素行善良であり、
独立した生計を維持するための適切な資産またはスキル(以下、「独立生計維持能力」と称します)がある場合、
そしてその永住が日本の利益に適合すると法務大臣が判断した場合のみ、許可が与えられます。
なお、日本人、既存の「永住者」、「特別永住者」の配偶者や子供に対しては、
良好な行動や独立生計維持能力の要件は適用されません。「永住者」になると、在留期間の更新申請は必要なくなり、
さらに、活動に制約がなくなります。したがって、収益活動や就労活動も自由に行うことが可能となります。
在留資格取得許可
日本で外国人として生まれた子供や、日本国籍を放棄した人々など、日本国内で外国人となり、
その後も日本に居留することを希望する人々は、該当事由が発生した日から30日以内に「在留資格取得許可申請」
を行うことで、許可を得た場合、在留資格を取得することが可能です。
出生した子供については、通常はその親の在留資格と在留期間に基づいて在留資格と在留期間が定められます。
「特別永住者」の子供が日本国内で生まれた場合、一般的な入管法第22条の2の規定に代わって特別な規定が適用されます。
具体的には、「特別永住者」の直系の子孫である日本国内出生の子供は、生まれた日から60日以内に、
居住する市区町村の事務所に、在留資格取得の申請書類を提出することが求められます。
そして、市区町村の長から申請書類の提出があった場合、法務大臣は「特別永住許可」を与えます。
在留資格の取消
入管法第22条の4および第61条の2の8に基づき、在留資格が取り消されると、その在留資格は消滅します。
さらに、外国人が単純出国を行った場合や、退去強制事由に該当し、「退去強制令書」の発行を受けた結果としても、
在留資格は消滅します。
在留資格の取り消しの原因となる事由は多岐にわたりますが、主なものは以下のように分類されます。
①虚偽の情報に基づく申請により上陸許可や在留許可を取得した人に対する取り消し
②一定期間(3ヶ月以上もしくは6ヶ月以上)在留活動を行わなかった人に対する取り消し
③中長期滞在者が住所に関する届出義務を遵守しなかった場合の取り消し
④難民と認定された人が、虚偽や不正手段を用いて在留資格を得た場合の取り消し
以上が、在留資格についての基本的な説明です。
在留資格に関する問い合わせや相談については、当事務所までお気軽にご連絡ください。